歩く意味とはナニ?
私たち人類はもともと2本の足で立ち歩いて発達してきました。交互に足を動かして進み始めると,脳からつま先まで筋肉も骨も間接も神経の伝達もすべて連動して動きだします。
脳は体に備わるすべての部分から送られてくる情報をキャッチして瞬時に次の行動への命令を下しているので,歩くほど脳もよく働きます。
さらに歩くことは酸素を体に取り組む有酸素運動になるので,酸素を送る心肺機能も活性化します。このように一歩一歩と歩けば,あらゆる臓器のエンジンがかかり体中が反応するのが歩くことです。歩くことで全身の機能が止まることなく一斉に作動し続けるので,歩いている限り体は活性化し続けるわけで,歩く意味となります。
また,加齢とともに長年使ってきた血管も硬くなりがちですが,歩くことには血管を若返らせる意味もあります。1回に15分以上続けて歩くことで酸素を体の隅々まで運ぶために血管の中をどんどん流れる血液が血管を柔らかくほぐし,硬くなりがちな血管も若返るわけです。
このように,歩くことにはいろいろな意味があるわけです。
歩く悪い姿勢は?
歩く時の悪い姿勢はすでに足が弱ってきている警告といえます。ここにあげる歩きは外から見ても若々しくない上,体の中もますます老化してしまう危険が大です。歩く悪い姿勢とはどんな歩きでしょうか?
猫背歩きは歩幅が狭くなり,脚の筋肉が弱くなります。ちょっとした段差でもつまづいて転倒,骨折しやすくなり,背骨のS字が保たれていないので神経が圧迫され,ひどい頭痛や肩こり,腰痛に悩まされながら過ごす心配があるかもしれません。
すり足歩きは股関節まわりの筋肉が弱いので,脚を持ちあげたり蹴り出したりできずになる歩きです。このまま続けば加齢とともに歩く速さがさらに遅くなり,ますますのろのろ歩きになってしまい,ちょっと人とぶつかっても体のバランスが保てずに転んでけがをするようになるかもしれません。
O脚歩きは太ももの内側の筋肉が弱いので,膝が外に開いてしまう歩きです。歩くたびに膝の内側に負担がかかるので,膝の関節が痛んだり変形したりして若いうちから膝が痛くて歩くのがつらくなってしまうかもしれません。
胸張り歩きはお腹の筋肉が弱いため,脚の運びに状態がついていけず,腰が反ったような重役歩きです。後ろに傾いた背中と腰で重心を支えているので,将来背中や腰が痛くて歩くのがつらくなってくるかもしれません。
いつまでも若々しく人生も闊歩し続けるためにも歩きや姿勢の改善に努めましょう。
歩く速度は?
1日に何歩歩いているかといった歩数が多いほど良いように言われ続けてきましたが,将来もずっと若々しい肉体年齢を保つためにはただたくさん歩けば良いわけではないことが分かってきました。
ではどんな歩きが望ましいのか?カギを握っていたのは歩く速度だったのです。
歩く速度が速いか遅いかで年齢を重ねた時の健康維持の確率が変わります。自分の脚で移動し日々を楽しくすごすためには,歩く速度を維持しておくことが重要なわけです。
正しい知識と方法を身につけ,足腰を育てていくことに努力していきましょう。
歩く筋力アップも!
歩く速度を速くしていくためにはただ歩く速度を速くしていこうとするだけでなく,そのための強化として歩く時の筋力をアップしていくことが必要になってきます。ポイントは3つで,無理なく歩く筋力アップを目指しましょう。
・膝関節の柔軟性を保つこと
・脚の筋肉を鍛えること
・つま先から蹴り出して歩くこと
このような3つのポイントを強化していくことは簡単なようで大変なことです。年齢には勝てず,年齢を重ねるごとに膝を支える筋肉はやせて固まり膝の可動域が狭くなるため,歩くごとに軟骨がこすられ痛くなります。この痛みを緩和して少しでも歩く速度をアップしていくためにも,膝関節の柔軟性を保つことを心掛け,ストレッチで膝をほぐしていく習慣を身につけましょう。脚の筋肉と膝関節をゆっくりと伸ばすことで,膝まわりの柔軟性が高まります。
(ストレッチ1)
・椅子を要します。右足を前に出し,椅子の左側に腰をかけます。右手を座面につき,左足のつま先を床につけます。
・体重を後ろにかけて,左の足首といっしょにすねを伸ばします。
・左足を前に出し,椅子の右側に腰をかけます。左手を座面につき,右足のつま先を床につけます。
・体重を後ろにかけて,右の足首といっしょにすねを伸ばします。
(ストレッチ2)
・右手を壁につき,右膝を曲げ,左膝を伸ばして後ろに引きます。
・胸を張った姿勢を維持し,左脚のつけ根を伸ばします。
・左手を壁につき,左膝を曲げ,右膝を伸ばして後ろに引きます。
・胸を張った姿勢を維持し,右脚のつけ根を伸ばします。
(ストレッチ3)
・右手を壁につき,左手で左足首を持って引き上げます。
・左手を壁につき,右手で右足首を持って引き上げます。
(ストレッチ4)
・右手を壁につき,左足は一歩ほど後ろに引きます。
・左足のかかとを床につけてふくらはぎを伸ばします。
・左手を壁につき,右足は一歩ほど後ろに引きます。
・右足のかかとを床につけてふくらはぎを伸ばします。
(ストレッチ5)
・左足を前に出し,お尻を後ろに引いて太ももの裏側を伸ばします。
・右足を前に出し,お尻を後ろに引いて太ももの裏側を伸ばします。
脚の筋肉と膝関節をゆっくりと伸ばすことで,膝まわりの柔軟性が高まります。左右ともに各20~30秒間,痛くない程度の刺激で伸ばしましょう。反動をつけずに,息を止めないで行うことです。歩く前に行うと,膝の痛みの予防にもつながるかもしれません。
年齢を重ねるごとに歩く速度が低下するのは,歩幅が狭くなるためで,ももを上げ足を大きく前に出す筋肉が落ちてくると歩幅が狭くなってきます。脚の筋肉量を少しでも減らさないように筋トレを続け維持に努めましょう。
(筋トレ1)
・椅子の背をつかんでまっすぐに立ちます。
・3秒かけて腰を沈ませ,1秒止めてから3秒かけてまっすぐに立ちます。
・注意点は,つま先はまっすぐ正面に向け,膝がつま先より前に出ないようにすることです。
・この動作を10回行います。
(筋トレ2)
・足を軽く開き,背筋を伸ばして立ちます。
・3秒かけてももを上げ床と平行にし,1秒止めてから3秒かけて背筋を伸ばして立ちます。
・注意点は,腰を反らさず,膝が外に開かないようにすることです。
・この動作を左右10回行います。
(筋トレ3)
・椅子に腰かけて,背筋を伸ばします。
・3秒かけて,片脚の膝をゆっくりと伸ばし,1秒止めてから3秒かけて元に戻します。
・注意することは,膝はできるだけピンと伸ばすことです。つま先を自分の方向に向けるとさらに効果的になります。
・この動作を左右10回行います。
いずれも簡単な筋トレですが,続けて行うことで,立つ,歩く動作を支える重要な筋肉が育ちます。筋トレで大切なのは,とにかく続けることなので,努力していきましょう。
歩くことで重要な役割を果たすのがつま先です。歩く時はかかとからつま先(親指のつけ根)に体重を移動し,次の足を前に出していきます。つま先(親指のつけ根)のけり出しが歩幅を決めていくので,親指でしっかり蹴って歩く練習をして歩く速度を速くし,颯爽とした歩き方になるよう心がけましょう。
歩くことには将来のための意味がありますが,ただ歩くだけではダメで,歩く速度を少しでも早くして歩くことが重要になります。そして,年齢とともに落ちてくる柔軟性や筋力をさらに高めていくために,ストレッチや筋力アップの向上が決め手になりますから,アップに努めていきましょう。